2016.05.20更新

「小眼球症(しょうがんきゅうしょう)」は、文字通り眼球が通常に比較して小さいという特長から、こう呼ばれています。症状が両目に出る場合、片目に出る場合の割合はほぼ拮抗しており、男女の割合も女性がやや多いもののそれほどの差はみられません。

正常な眼球容積の2/3以下を基準に診断されますが、より具体的には眼球の長さ(眼軸長)、角膜の大きさ(角膜径)、左右眼の大きさの差(乳児で9mm以下が目安)を計測して判断されます。原因は、胎内で眼球がつくられる早い時期に、房水(角膜・水晶体・硝子体など血管のない組織に栄養を与える体液)の排出が正常になされなかったために、眼球の形成が不十分になって生じるとされています。「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」は、それに伴ってまぶたが下がって生じます。


小眼球症は、原因に関わる遺伝子が発見されている症例があるものの、原因不明の場合も多い疾病ですが、風疹などの感染やアルコール摂取など、妊娠初期の母親の生活環境が影響を与える場合もあります。また、発生頻度が約10,000人に1人というデータが示す通り、極めて希少な疾患にあたります。

「無眼球」とは、この小眼球症のうちの最も重度な疾病を指し、眼の組織がほとんどないケースです。このほか極小眼球、先天性嚢胞眼(せんてんせいのうほうがん)などの重度なレベルから、軽度の小眼球まで程度はさまざまですが、重度の場合は、先天的な全盲となります。ただ、軽症の場合は視力が弱まるだけで済むこともあるようです。先天性嚢胞眼の「嚢胞(のうほう)」は、中に液体がたまった袋状の異物のことで、胎児の発育過程のなかで通常は消える部分の一部が残って袋状に変化し、体内に生成されます。この嚢胞を伴った小眼球を先天性嚢胞眼と呼びます。


いずれにしても解明不十分の疾病で、根本的な治療法は確立されていないのが実情です。ただ、通常は知性に問題がなく、視覚以外の他の身体部分にも影響がないため、健康面では特に支障がなく生活することが可能です。

投稿者: 高田眼科

2016.05.20更新

「眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)」は、まぶたの縁が眼球側に向かって倒れている(内反)状態になる疾病です。高齢者に発症することが多く、主に下まぶたの方に症状がみられ、両目あるいは片目だけの発症もあります。これは、加齢にしたがって、「眼輪筋(がんりんきん)」という筋肉がゆるんでしまうことや、眼球の周囲の脂肪が減少することで眼球が奥に入り、それによって余ってしまったまぶたがたれてしまうのが原因です。それによって「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と似た症状が出るのですが、実際は「偽(ぎ)眼瞼下垂」と呼ばれ区別されます。詳しくは(8)眼瞼下垂は3タイプ[偽眼瞼下垂]とはをご参照ください。


眼輪筋は、目のまわりを覆っているドーナッツ状の筋肉で、まぶたの開け閉めに関わります。眼瞼内反症は、まつげを抜くと一時的に症状が改善するのですが、まつげが生えると再発してしまいます。


一方で、希少な症例ながら、先天性の眼瞼内反症も存在します。ふくよかな顔立ちで、まぶたの皮膚がふっくらしている乳幼児に発症することが多く、この皮膚にまつげが押されて眼球の側に向いてしまうことが原因となります。成長するにつれて大人の顔立ちになると改善されるケースもありますが、小学校高学年を迎えても気になる場合は手術を選択することになります。

同じ「内反」が付く疾病として、まつ毛だけが内側に倒れてしまう「睫毛内反(しょうもうないはん)」があります。俗に「逆さまつ毛」といわれる症状で、本来は外側を向いているはずのまつ毛が内側を向き、眼球に触れてしまっている状態で、眼の表面(角膜や結膜に)を傷つけることがあります。したがって、まつ毛が眼球に当たって痛みを感じますし、パッチリとした目の印象にならないなどの悩みが生じます。乳児期から幼児期に多くみられ、軽度の睫毛内反は乳幼児では珍しくありませんし、通常は5~6歳までに自然に治癒しますが、小学校高学年になっても完治しない場合は専門医に相談してみてください。一方で、壮年期以降にみられる逆さまつ毛の多くは、加齢による眼瞼内反症によるものです。


投稿者: 高田眼科

2016.04.11更新

「動眼神経再生過誤(どうがんしんけいさいせいかご)」という、この聞き慣れない疾病の言葉の意味を一つ一つご説明します。
まず「動眼神経」は「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と密接に結び付く神経で、外眼筋(がいがんきん)を支配する以外に、まぶたを挙げるために働く「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」を司っています。
次に「再生過誤」とは、再生(この場合は、動眼神経が麻痺した後の神経再生)が過誤(誤り・過失)してしまうことを意味し、それが原因となって眼瞼下垂が発症します。

では、なぜそのような事態が引き起こされてしまうのでしょうか。

原因としては、赤ちゃんが産道を通過する際や子宮腔内での胎児の位置(胎位)などにより頭部が圧迫されたりする出産時のトラブルや、成人になってから頭部に受ける外傷、(血液を臓器や組織に届ける)動脈にできる瘤(脳動脈瘤/のうどうみゃくりゅう)などにより、動眼神経が傷ついたり圧迫されたりすることで生じる麻痺が挙げられます(この場合に特筆すべきは、脳動脈瘤の破裂は、クモ膜下出血から命に関わる事態も予想されるため、MRIなど頭蓋内の精密検査や脳神経外科による処置が緊急に求められるということです)。


さて、動眼神経再生過誤は、こうして麻痺した神経が再生する過程で、本来、支配している筋肉とは異なる筋肉を誤って支配してしまうことにより生じます。神経線維は、線維束と呼ばれる長いケーブルが、接触しながらまとまって走っているイメージを浮かべていただけるとよいと思います。ここで、障害が生じた神経が再生する過程で、正常なケーブルではなく隣接する別のケーブルに誤って接続される「迷入再生」を引き起こす場合があります。こうした状況が動眼神経再生過誤と呼ばれ、前述の症状に結び付きます。

再生過誤そのものの治療は困難で対症的な療法しかないといわれてきましたが、リハビリや投薬による症状の改善が報告されています。

投稿者: 高田眼科

2016.04.11更新

眉毛下垂って?

アンチエイジングという言葉が、特に女性向けに盛んに発信されています。これは、老化の進行を遅らせる"抗老化"を意味しますが、この場合に老化を表す現象の一つに挙げられるのが肌のたるみです。

肌は、手で触れることができる外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。化粧品の広告でよく出る(肌の保湿とバリア機能をもつ)角質層は、この表皮の最も上層にあり、これもよく目にするコラーゲン(繊維状タンパク質)は、真皮内にあって肌を支えています。したがって、この真皮が肌を支えハリや弾力を保つ働きを果たしているのです。 

「眉毛下垂(まゆげかすい)」は、血行や代謝が悪くなって真皮内のコラーゲンや(水分を保持する)ヒアルロン酸が減ってしまう肌の老化と大きく関係します。こうしてコラーゲンの繊維が肌を支える力が衰えることで前額部の皮膚のたるみが生まれ、これに筋肉のたるみも加わって眉毛が下がり、まぶたを押し下げることが「眉毛下垂(まゆげかすい)」の原因となります。




眉毛が下がる症状

「眉毛下垂(まゆげかすい)」は、「まぶたが重く開けづらい」など、眼瞼下垂と似たような症状をもつ「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」の一つで「眼瞼下垂は3タイプとは」で詳しく説明しています。

老化に伴う眼瞼下垂というと、([後天性眼瞼下垂]の症状「老人性眼瞼下垂」が挙げられますが、眉毛下垂は、まぶたの開け閉めに関わる筋肉や神経には障害が起きていない点などが、眼瞼下垂とは違います。

また、単に眉毛が下がる症状のみを取り上げると、事故などによる外傷や手術後に顔面神経麻痺が発症するケースがありますが、これについては[後天性眼瞼下垂]の症状「機械的眼瞼下垂」、[後天性眼瞼下垂]の症状「外傷性眼瞼下垂」に述べているとおり、偽眼瞼下垂ではなく、後天性眼瞼下垂になります。

皮膚の老化に伴う症状のため対策といっても限界がありますが、例えば眉毛を無造作に抜くことは皮膚のたるみにつながるので避けた方が無難です。眉毛を抜くと、どうしても皮膚が引っ張られてしまいますが、何度も繰り返すと皮膚が伸びやすくなり、肌のたるみにつながってしまいます。


投稿者: 高田眼科

2016.04.11更新

「外傷性眼瞼下垂(がいしょうせいがんけんかすい)」は、外傷(体外から加えられた物理的な力によってできた傷)が原因で眼瞼下垂が発症するタイプの眼瞼下垂です。この場合に外傷の原因となるのが「白内障」、「緑内障」の手術をした際や事故などです。

「白内障」「緑内障」は、いずれも視力悪化に大きな影響を与える疾病ですが、これらについては  [後天性眼瞼下垂]の症状「内眼手術後眼瞼下垂」でも詳しく説明しています。
これは、眼科において「白内障手術」、「緑内障手術」が「硝子体手術(しょうしたいしゅじゅつ)」と共に、まとめて「内眼手術(ないがんしゅじゅつ)」と呼ばれていることによりますが、いずれにしても手術が契機となって眼瞼下垂の症状が生まれます。これらに事故を原因とする外傷が加わって外傷性眼瞼下垂と呼ばれます。



外傷性眼瞼下垂における3タイプ

外傷性眼瞼下垂は、前述の原因によって発症する「動眼神経麻痺(どうがんしんけいまひ)」と「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」、さらに「ホルネル(Horner)症候群」の3つの疾病にさらに分けられます。

これらの疾病については、それぞれ[後天性眼瞼下垂]の症状「後天性動眼神経麻痺」、[後天性眼瞼下垂]の症状「腱膜性眼瞼下垂」、[後天性眼瞼下垂]の症状「ホルネル(Horner) 症候群」にまとめられていますが、その原因について簡潔に説明しましょう。

動眼神経麻痺とは、眼球を鼻側(内側)方向に向ける「内直筋(ないちょくきん)」、上下に向ける「上直筋(じょうちょくきん)」と「下直筋(かちょくきん)」、外方向に回転させる「下斜筋(かしゃきん)」を支配するほか、まぶたを上げる「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」も支配しているため動眼神経に麻痺が生じることで、眼瞼下垂が生じます。

次に腱膜性眼瞼下垂ですが、この「腱膜」とは、まぶたを上げる際に大切な「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」を指します。腱膜性眼瞼下垂は、この挙筋腱膜とまぶたを引き上げる「瞼板(けんばん)」との付着部分が外れたり、挙筋腱膜が伸びたり薄くなったり、切れたりし、瞼板が自然に持ち上がらなくなって、まぶたが開きづらくなることで、眼瞼下垂になります。 

最後に「ホルネル(Horner)症候群」は、脳から体の末梢に向かう交感神経遠心路のどこかに障害が起きて生じる疾病で、やはり眼瞼下垂につながる場合があります。

投稿者: 高田眼科

2016.04.11更新

「機械的眼瞼下垂(きかいてきがんけんかすい)」の「機械的」とは、「機械的刺激」のことを指し、何らかの物理的な力や摩擦を意味します。こうした刺激によってまぶたの開け閉めに関わる「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」やミュラー筋などが変化し引き起こされる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」を、機械的眼瞼下垂と呼んでいます。


この物理的刺激を与える原因となるものに、まず眼瞼(がんけん)、つまりまぶたや、眼窩(がんか)の腫瘍が挙げられます。まぶたに生じる良性および悪性腫瘍の重みによって、まぶたを動かす筋肉が耐えられず下垂してしまうケースです。眼瞼腫瘍によって眼瞼下垂が引き起こされる疾病は [先天性眼瞼下垂]の症状「眼瞼腫瘍」にも詳しく書かれています。
眼窩腫瘍の「眼窩」とは、眼球が入っているくぼみのことです。眼窩腫瘍による眼瞼下垂は、この眼窩上緑(上部)に腫瘍ができることで、眼瞼腫瘍と同じ経緯によって発症します。


次に挙げられるのが、頭蓋骨の前頭部を形成する前頭骨の骨折です。交通事故や転倒・転落、殴打などが原因となって生じる主に額の部分の骨折により、その範囲が眼窩壁(眼窩の奥にある薄い骨)にまで及んだ場合に、まぶたや眼球の運動障害を生じさせ眼瞼下垂を引き起こします。


異物による刺激は、主にハードコンタクトレンズが原因となって起こります。眼瞼下垂を生じさせる理由としては、一日に何千回も行われるまばたきの際に、角膜上に装着されたハードコンタクトレンズと、まばたきによるまぶたの上下運動の間で摩擦が生じることによります。

この摩擦によって、まばたきする際の動力となる「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」が徐々に伸びてしまったり、その先にある「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」やミュラー筋が伸びたり、場合によっては線維化するなどして、眼瞼挙筋の力がまぶたに伝わりにくくなって眼瞼下垂が発症します。また、ハードコンタクトレンズを装着するとき、あるいは取り外すときに、上まぶたを引っ張りすぎる行為が何度も繰り返されることで、挙筋腱膜と瞼板の接合部に負担がかかって外れやすくなることで同様の事態が引き起こされ、眼瞼下垂が発症します。

投稿者: 高田眼科

2016.04.11更新

「眼咽頭遠位型(がんいんとうえんいがた)ミオパチー」の「ミオパチー(筋原性疾患)」とは、"筋肉病"を意味し、神経障害とは関係なく、筋肉そのものの障害のために筋肉がやせて萎縮し、筋力の低下を引き起こす疾患を指します。見慣れない類の言葉ですが、英語で筋肉を意味する接頭辞「Myo(ミオ)」と、苦痛を意味する「pathy(パシー)」が結びついた語です。このミオパチーの一方で、筋肉を支配する神経に障害が生じる疾病は「神経原性疾患=ニューロパチー」と呼んで区別しています。


ミオパチーの代表的な疾病に、皆さんもよく目にすることがある「筋ジストロフィー」がありますが、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」との関連で言えば、この遠位型ミオパチーのほかに、(12)先天性筋強直性ジストロフィー、(27)後天性眼瞼下垂]の治療「筋強直性ジストロフィー」も含まれます。
ジストロフィーとミオパチーは、ほぼ似通った疾患に別々の用語が使われていて紛らわしいのですが、筋ジストロフィー自体は「遺伝性があり進行性の筋力低下がみられるミオパチー」と定義されます。したがって前述の筋強直性ジストロフィーは進行性ですが、この眼咽頭遠位型ミオパチーも同じく進行性で筋肉そのものの障害となります。実際に眼咽頭遠位型ミオパチーの一部の患者さんは、臨床病理学的見地からも似た疾病である眼咽頭型筋ジストロフィーにかかっている場合があり、さらに両者の区分は難しくなります。

いずれにしましてもミオパチーは、患者数が極めて少なく、「指定難病」にも指定されています。また、遺伝による筋肉の疾患とされているものの、ミオパチーに該当する疾患は多様なため、症状と遺伝との関連もさまざまで、なかには遺伝とのつながりを見い出せない疾患もみられます。


遠位型ミオパチーも厚生労働省によって「指定難病」に指定されていますが、この「遠位型」とは、体幹(人間の体で頭部と手足を除いた胴体部分)から 遠くに位置する筋肉である遠位筋、例えば指先や足首を動かすような筋力から能力の低下が生じる疾病を指します。ミオパチーの多くは肩や腰をはじめ体幹部に近い筋肉(近位筋) から発症するため、遠位型はミオパチーのなかでもさらに希少な疾病ということができます。


日本国内でみられる遠位型ミオパチーとしては「縁取り空胞(ふちどりくうほう) 型)、「三好(みよし)型」、そしてこの眼咽頭遠位型の3型が挙げられます。このなかで眼咽頭遠位型は確かな原因が明らかになっていません。

投稿者: 高田眼科

2016.04.11更新


日本国内でみられる遠位型ミオパチーのなかでも、「縁取り空胞(ふちどりくうほう) 型)、「三好(みよし)型」と違って「眼咽頭遠位型(がんいんとうえんいがた)ミオパチー」は確かな原因が明らかになっておりません。また、難病情報センターのWEBサイトに「『超』希少疾病」と記されているように、同じ遠位型ミオパチーのなかでも患者数からみて最も希少な「指定難病」と言うことができます。
中高年世代の男女で発症し、両側(まれに片側)の目の「眼瞼下垂(がんけんかすい)」に関わる緒症状や、食物が飲み込みにくくなる「嚥下困難(えんげこんなん)」が生じます。また、咽頭筋が弱くなるため、言葉がはっきりしなくなることで気づく場合もあります。さらに10年以上経過して症状が進行すると、眼球運動を司る外眼筋(がいがんきん)、目・鼻・口・耳の開口部に広がる顔面筋(表情筋)の能力低下、舌の萎縮や脚の筋力の低下までを伴うようになり、歩行障害に陥る事態も引き起こされます。歩行がしづらくなる場合は、前頸骨筋(ぜんけいこつきん)に障害が生じています。前頸骨筋とは、膝下の外側から土踏まずまで続いている長い筋肉で、歩く際につま先を持ち上げる役割を果たしています。


一方で眼咽頭遠位型ミオパチーは、光の量を調節する虹彩筋(こうさいきん)と、目のレンズともいえる水晶体で遠近調節をする役目のある毛様体筋(もうようたいきん)の2つを総称する内眼筋(ないがんきん)や、全身に血液を送るポンプの機能を果たす心筋が侵されることはなく、視力や生命の危険に晒されることはないとされています。


遺伝性疾患ですので、原因となる遺伝子に変異がある方が発症しますが、現在のところ対症療法しかありません。眼瞼下垂については、重症になった場合は手術が行われます。待たれるのは新薬の開発などですが、患者数が少なくあまりに希少な疾病のため非常に困難なのが現状です。

投稿者: 高田眼科

2016.03.31更新

眼咽頭型筋ジストロフィーって?

収縮性をもって筋肉組織を形づくる細胞である筋細胞(きんさいぼう)の正常な機能が崩れて変性や壊死(一部分の細胞や組織の死)に至ってしまう「筋ジストロフィー症」。筋肉の病であるこの難病は、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と密接に関係します。
(12)先天性筋強直性ジストロフィーや(27)後天性筋強直性ジストロフィーでも関係性について述べていますが、この「眼咽頭型筋(がんいんとうがたきん)ジストロフィー」は、前述した壊死などの特長がみられない点が異なります。


文字通り、物を飲み込んだり声を出すのに欠かせない喉の筋肉群である咽頭筋(いんとうきん)に障害が生じる疾病ですが、眼筋や舌の萎縮も半数以上にみられ、手足の筋力低下に広がることもあります。ただ、呼吸するのに必要な呼吸筋や、心臓を正しく拍動させるために収縮する心筋が侵されないので致命的な状況をもたらすことはありません。


発症時期は50代以降の中年以降から老年期にかけての年代に多く、眼瞼下垂から始まります。最初は片側の目だけに発症することもありますが、進行するにつれて両方の目に症状が生じます。また、眼球運動の神経経路もしくは外眼筋に何らかの病変があり、眼球の運動にも障害が出ます。これに、飲食物が飲みにくくなる嚥下(えんげ)障害も加わり、言葉が発しづらくなっていきます。
眼瞼下垂の程度が激しいときは状態に合わせた手術を、嚥下が困難なときは胃瘻(いろう)や誤嚥(ごえん)防止手術を実施することで症状の改善を目指すことができます。胃瘻とは、お腹の壁を切開して胃の中に向けて管を通し、食物や水分、医薬品を送り込むための処置です。また誤嚥とは、食物などが何らかの原因で、誤って喉と気管に入ってしまうことをいいます。


眼咽頭型筋ジストロフィーは、ほとんどの患者さんの原因が不明な難病で、現在のところ対症療法しかありません。また、呼吸障害が生ずるような重症になった場合は、可能な限り呼吸器の機能を回復・維持させる呼吸リハビリテーションや、人工呼吸法などを施さなければなりません。

投稿者: 高田眼科

2016.03.31更新

「眼瞼下垂(がんけんかすい)」につながる「カーンズ・セイヤー症候群」の基本的な原因は、(26)[後天性眼瞼下垂]の症状「カーンズ・セイヤー (Kearns-Sayre症候群)」って?で説明しましたが、ここではさらに具体的にカーンズ・セイヤー症候群をみていきます。
カーンズ・セイヤー症候群とは、眼瞼下垂を生じさせる外眼筋麻痺に加え、眼のなかで光を感じる網膜に異常 がみられる「網膜色素変性(もうまくしきそへんせい)」、場合によっては突然死も危惧せねばならない致死性不整脈である「心伝導障害」の3つの徴候が条件となります。ただ、この3条件が揃わない不完全型もみられます。


ミトコンドリアの異常から発症するのですが、極めて稀有な疾病であり、小児も含め年代を選ばず発症します。眼瞼下垂については、初期には片方の目に発症することもありますが、ゆっくりと進行するにつれて両方の目ともに眼瞼下垂となります。遺伝性も明確ではありませんが、点突然変異(遺伝子の一つの塩基が置き換わる)の場合は母系を伝わって遺伝することがあるようです。
「難病情報センター」のWEBサイトにリンクされている「国立精神・神経医療研究センター病院遺伝カウンセリング室」の冊子によれば、カーンズ・セイヤー症候群もそのひとつであるミトコンドリア病は、2009年の10月に、国の難病対策の一つの「特定疾患治療研究事業」の対象として認められました。この事業は、ある疾病にかかった患者さんに対し、決められた条件を満たす場合に医療費を助成し、難病の原因究明や治療法開発などを目指した調査研究の進捗を図るものです。ミトコンドリア病と認定されるためには、定められた条件を満たす必要があります。


カーンズ・セイヤー症候群は、難病と認められているように、現在の時点では根本的な治療方法はまだ発見されていませんが、現在も治験中の薬剤も数種存在しています。したがって眼瞼下垂も含め対症療法が主となっています。

投稿者: 高田眼科

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な手術を行います。眼科治療を通じて国民の皆様の全身的な健康に寄与することを目標に努力してまいります。

当院では、「何が原因で悪くなってしまったのか」を患者様とともに考え、治療後のよい状態を常に保つことができるような手術を行います。眼科治療を通じて国民の皆様の全身的な健康に寄与することを目標に努力してまいります。

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