2015.11.12更新

先日、車椅子に乗られた方が、家族に連れられ眼瞼下垂症手術の修正のご相談に来られました。
とある病院の形成外科で、2度にわたる手術を受け、収拾がつかなくなり、途方に暮れ、
遠方から当院に来られました。

3年ほど前に、お体の具合を悪くされ、入院されたそうなのですが、その際に、ついでに眼瞼下垂症手術を受けられたようです。初回の前転法の手術で、全く開瞼が得られず、結果、挙筋機能がないとの判断で
筋膜移植を受けられましたが、お写真のような有り様になり、3度目の手術を同じ病院で受けようとしたところ、
御家族からは別の病院でのセカンドオピニオンを勧められ、当院をインターネットで調べられご相談に来られました。
(前医では、これで大成功との診断だったようですが・・・・)

さらに、この方が不幸なのが、筋膜移植のため、大腿部から筋膜を採取されたたのですが、その部分が痺れてしまい、
しかも、しかも、足の力が入らなくなったため、現在、車椅子生活になってしまったのです。

残念ながら、私には、足(大腿部)の治療はできませんが、瞼については、今よりは、改善させることができる見込みと自信がもありましたので、お引き受けすることとしました。

①術前のお写真。



一見、普通な印象を受けられると思います。それは、皮膚の余剰が強いので、拘縮を起こした部分が隠れることで
自然に見える状態になっております。

  
しかしながら、目を引き上げると、左眼の上眼瞼縁のラインが大きく、歪んでいるのがお分かりになられると思います。術中の切開する前では、瞼がウイリーして、裏返り、睫毛が目に辺り、激しいドライアイ状態になるような状態です。つまり、拘縮により、点で引っ張っていた部分が強くなり、瞼が歪んでしまったのです。

術前から考えられる問題点として、

①移植された筋膜が、拘縮することによって、瞼に引きつりのようなベクトルがかかり、兎眼の状態になっていること
②術後の瘢痕化により、むしろ、眼瞼下垂症症状が強くなってしまっていること。
③二重の形が悪く、審美的な観点で問題があること。
④大腿部から新たに筋膜を採取し、移植しなおすことは出来ないし、すでに、通してある筋膜が瘢痕化し、癒着していること。

以上が考えられます。

 
そこで、手術は、想定される二重で切開をし、眼瞼にある瘢痕化組織、拘縮を全て、取り除き、解除しました。
そして、新たに、吊り上げのやり直しをさせていただきました。
術前、隠れて、睫毛内反になっていた睫毛も元に戻り、兎眼も治り、二重もしっかりと出来、しかも、術前にあった皮膚の被りによる視野狭窄も改善しました。1週間後の抜糸直後ですので、
二重の幅は、まだ、特に左眼の目頭が広いのですが、時間が経つにつれて改善します。

結局、大腿部からの筋膜移植は、この症例のような拘縮の問題、足への侵襲の問題を考えると行うべきではなく、
ゴアテックスによる筋膜移植の方が安全だと考えます。(もちろん、人工物を入れることのリスクはありますが、
メリット、デメリットを勘案しての比較の上では、優っているのです。)

このような吊り上げ術(筋膜移植)の後遺症に悩まされている患者さんは意外に沢山いらっしゃいます。
ましてや、その修正を引き受ける施設は、非常に少ないのではないでしょうか??
他院の修正ほど難しい、そしてリスキーな手術は、ありません。
自分自身は、神様ではありませんが、眼瞼手術の職人としてのコダワリを持って、最大限の結果が出るように頑張っております。

投稿者: 高田眼科

2015.10.05更新

眼瞼痙攣に加えて、眼瞼下垂症もあるケースとなります。



眼瞼下垂症を専門に診察をしているとよく遭遇しますが、眼瞼痙攣の患者さんです。
それまで、いろいろと眼科を受診されたりし、眼瞼下垂症の手術を受けることを決心され、
遠方から当院を受診されました。

初回の診察の際には、気づかず、そのまま、眼瞼下垂症の手術を予定することとしましたが、
手術当日の術前、診察の際に、僅かに、瞬目過多という眼瞼痙攣症状に気づき、BOTOX注射をすることにしました。
よく問診をしてみると、眼瞼痙攣症状に特有な羞明(光を眩しがる)という症状があったとのことです。

もちろん、術前の写真のように、眼瞼下垂症もあります。
この方の眼瞼下垂症は、ある意味、先天的に瞼の引き上げが弱く、加えて、皮膚の余剰が強いので、
眼瞼下垂症に逆さ睫毛(睫毛内反症)が合わさった状態だと考えます。

BOTOX注射をすることで、先ずは、羞明(まぶしさ)がなくなり、日常生活が劇的に改善し、
バスの運転という日常の仕事が楽になったと喜んで頂きました。
BOTOX注射の1か月後に、眼瞼下垂症手術を行うこととしました。

手術については、睫毛内反症(睫毛が目に当たる状態)も合併してあるので、それなりに重瞼ラインをしっかり
つける方向で、さらに、男性なので、やや狭い二重幅をイメージしてデザインしました。
二重は、重瞼ラインでの、皮膚の食い込みと余剰皮膚の被さりが合わさって、二重ですので、皮膚の切開がポイントとなります。逆に、睫毛内反症の改善には、十分な皮膚切除がポイントとなります。




3か月後の写真となります。開瞼もしやすく、BOTOXの効果も持続しており、
ご本人にとっては、大変満足のいく結果だったと喜んで頂いております。

眼瞼痙攣の方への眼瞼下垂症手術は、眼瞼痙攣が悪化する可能性を考え、
原則、行わないのではなく、キチンと準備をし、行うと、非常に良い結果が出ます。

投稿者: 高田眼科

2015.02.25更新

1週間前に、当院にて手術をさせて頂いた患者様のお話です。
(この方のご好意により、お写真を使用させて頂けました。本当に有り難うございました。)

この方は、40年前に他院で手術を受けた方で、段々と右眼の瞼が下がり始め、
当然、いろいろと形成外科、眼科を受診されたのですが、修正手術を引き受けてくださるところがなく、途方に暮れていたところを高田眼科を知り、遠くから受診してくださいました。


写真:力一杯、大きく開瞼をした状態。

この方の手術の難しさは、二重瞼の切開線の位置が広すぎるということと、
また、その切開線が深く、物凄くガッチリと付けられてしまっている、言い換えれば激しく瘢痕化している状況でした。前医の手術は、修正を考えないアグレッシブな手術だと思います。


このケースの難しいポイントとして、

①前医の切開線がガチガチの線なので、位置をずらして、新しく二重の線を設定できない。

②皮膚の余剰がないので、前医の切開線を完全に除去することができない。

③これだけ、凄い瘢痕なので、瞼の構造が激しく壊れている可能性が強い。眼を閉じても、線が深く刻まれています。

④今回は、右眼のみの手術で、左眼にどこまで近づけられるか??

以上が挙げられます。


修正手術の方向性としては、瞼の開瞼幅を左眼に近づくように変えるとともに、二重瞼の幅を狭くすることとなります。

そこで、先ず、前医の瘢痕化を除去することを諦め、切開線は、前医の位置と同一として、瞼を挙げることに集中し、瞼を引き上げる力を利用することで、二重幅を狭めることとしました。

他院の修正手術の難しさは、前医の手術内容がわからないので、
手術中に内部構造の変化を読みきることです。まさに、修正手術は楽譜のない音楽の即興のようなものとなります。 加えて、瘢痕化した組織は、出血が多く、困難を極めます。

言うは易く行うは難し!

術中は、当然、出血も多く、それを丁寧に止血をしましたが、挙筋腱膜は瘢痕組織化し、術中に開瞼運動を行なって頂くことで、開瞼ベクトルを生み出せるポイントを探し、瞼板に縫合をし縫合しました。手術時間は25分でした。


そして、これが、本日の一週間後の抜糸直後の写真となります。
皮下出血も非常に少なく、抜糸したので、どんどん、腫れが収まり、二重の幅も狭くなり、よい状態になります。(普段は、もっと、狭いラインをデザインしてますので、こんなに広くすることはありませんが・・・)
御本人は、この時点でさえ、随分と眼が開きやすくなったと大変喜んでくださいました。

一ヵ月後には、二重の幅は、半分ぐらいになり、眼の開きも、もう少し改善し、手術を行わなかった左眼により近づくとご説明いたしました。

他の先生方も、言われるように、再手術は非常に難しいものだと認識しております。しかしながら、「難しいから、できない。」ではなく、難しいことに挑戦をしていくことは、大事なことだと思います。手術には、難しい、簡単の色分けができません。それは、保険診療の報酬が一定であるという縛りがあるということもありますが、手術は患者さんという人を相手にしているものです。ですので、私がベストを尽くしたとしても、その患者さんが納得する結果でなければ、石を投げられるようになってしまうこともあるからです。
ことさら、修正手術は、手術に対して不信感を抱かれている方が多いからこそ、難しいのです。それでも、他院の修正について、最初から断るのではく、リスク、複数回の手術の必要性の負担を納得されているという前提で、できるだけ引き受けるようにしております。


高田眼科

投稿者: 高田眼科

2014.02.02更新

眼瞼下垂症の原因として、あまり知られていないものに神経障害に伴う眼瞼下垂症があります。
①動眼神経麻痺
②horner症候群(ホルネル症候群):交感神経系の障害
③外傷、手術による障害 
など・・・があります。

今回は、動眼神経麻痺についての自験例をお話したいと思います。

当院は、平素から、沢山の眼瞼下垂症を取り扱い、手術をおこなっておりますが、
手術で治るのは、腱膜性眼瞼下垂、皮膚弛緩性眼瞼下垂、先天性眼瞼下垂です。
これらは、筋肉や皮膚に構造異常が生じていますから、それを手術によって解剖学的に修復することができます。
一方で、神経系の異常・・・いわゆる神経障害(麻痺)による眼瞼下垂症においては、手術による改善は一筋縄ではいきません。

術前の検査において、一番大事なことは、ご相談に来られた患者様の眼瞼下垂症が手術で治せるのか?治せないのか? をきちんと判断をすることです。

さて、前日、片眼の眼瞼下垂症で、他院(形成外科)で何度も手術を行ったものの、改善しないということで、当院に相談来られた患者様がいらっしゃいました。
恥ずかしながら、当初は、他院での手術によって、上手くいかなかったのを自分で治すつもりで手術を引き受けるつもりでおりました。
普段から、術前の検査では、対光反射、斜視をチェックするのですが、この方の場合、僅かに上下斜視を認めるものの、その他については一見問題がないように考えておりました。

手術についての説明をし、手術の予約についてお話をしているところで、
ふと、ご本人から、「他の病気の可能性はないのですか?」という質問を受けました。

この質問で、再び、頭の中の医学書を開いてみました・・・・。
動眼神経麻痺の場合、対光反射の消失(瞳孔の散大)、外斜視、複視(物が二重に見える)というのが特徴です。
この方に、当てはまるものは、一見ないのですが、動眼神経麻痺による外斜視というのは、まれに、上下斜視で出現することがあることに気付きました。
そこで、視能訓練士(ORT)に斜視の検査をオーダーし、確認しましたところ、
遠見では、わずかな上下斜視でしたが、近見では、外斜視。輻輳も減弱しており、上方に向くと、複視が出るとの結果でした。

この結果から、動眼神経麻痺の可能性が強いと判断し、高次病院でCT,MRIを撮っていただくことと致しました。
もし仮に、動眼神経麻痺ということならば、他院での手術で眼瞼下垂症が改善しなかったというのは当然であり、当院で通常の眼瞼挙筋前転法、眼瞼挙筋短縮法による修正手術を行ったとしても、良い結果が出たとは言い難いと思います。(腱膜移植、ゴアテックスによる吊り上げ術の適応だと考えます。)

しかも、動眼神経麻痺の原因は、脳動脈瘤などの脳疾患に起因することが多いので、見逃すと重大な結果を招く場合もあり、
きちんと確認をすることが大事です。
加えて、今回の患者様は、形成外科でしか、受診しておらず、眼科で眼瞼下垂症を相談したのが、当院が初めてでした。
恐らく、形成外科では動眼神経麻痺に気付かなかった可能性が高いです。(恥ずかしながら、眼科医である小生でも見逃しかけました。)

医師という仕事の上で大事なことは、思い込みをしないことです。思い込めば、疾患を見逃すことになります。それを身にしみて、実感した経験例でした。

投稿者: 高田眼科

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当院では、「何が原因で悪くなってしまったのか」を患者様とともに考え、治療後のよい状態を常に保つことができるよう

な手術を行います。眼科治療を通じて国民の皆様の全身的な健康に寄与することを目標に努力してまいります。

当院では、「何が原因で悪くなってしまったのか」を患者様とともに考え、治療後のよい状態を常に保つことができるような手術を行います。眼科治療を通じて国民の皆様の全身的な健康に寄与することを目標に努力してまいります。

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