2016.03.31更新

眼咽頭型筋ジストロフィーって?

収縮性をもって筋肉組織を形づくる細胞である筋細胞(きんさいぼう)の正常な機能が崩れて変性や壊死(一部分の細胞や組織の死)に至ってしまう「筋ジストロフィー症」。筋肉の病であるこの難病は、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と密接に関係します。
(12)先天性筋強直性ジストロフィーや(27)後天性筋強直性ジストロフィーでも関係性について述べていますが、この「眼咽頭型筋(がんいんとうがたきん)ジストロフィー」は、前述した壊死などの特長がみられない点が異なります。


文字通り、物を飲み込んだり声を出すのに欠かせない喉の筋肉群である咽頭筋(いんとうきん)に障害が生じる疾病ですが、眼筋や舌の萎縮も半数以上にみられ、手足の筋力低下に広がることもあります。ただ、呼吸するのに必要な呼吸筋や、心臓を正しく拍動させるために収縮する心筋が侵されないので致命的な状況をもたらすことはありません。


発症時期は50代以降の中年以降から老年期にかけての年代に多く、眼瞼下垂から始まります。最初は片側の目だけに発症することもありますが、進行するにつれて両方の目に症状が生じます。また、眼球運動の神経経路もしくは外眼筋に何らかの病変があり、眼球の運動にも障害が出ます。これに、飲食物が飲みにくくなる嚥下(えんげ)障害も加わり、言葉が発しづらくなっていきます。
眼瞼下垂の程度が激しいときは状態に合わせた手術を、嚥下が困難なときは胃瘻(いろう)や誤嚥(ごえん)防止手術を実施することで症状の改善を目指すことができます。胃瘻とは、お腹の壁を切開して胃の中に向けて管を通し、食物や水分、医薬品を送り込むための処置です。また誤嚥とは、食物などが何らかの原因で、誤って喉と気管に入ってしまうことをいいます。


眼咽頭型筋ジストロフィーは、ほとんどの患者さんの原因が不明な難病で、現在のところ対症療法しかありません。また、呼吸障害が生ずるような重症になった場合は、可能な限り呼吸器の機能を回復・維持させる呼吸リハビリテーションや、人工呼吸法などを施さなければなりません。

投稿者: 高田眼科

2016.03.31更新

2020.3.27 記事内容を修正・更新しました。


 

「眼瞼下垂(がんけんかすい)」につながる「カーンズ・セイヤー症候群」の基本的な原因は、ブログ記事:[後天性眼瞼下垂]の症状「カーンズ・セイヤー (Kearns-Sayre症候群)」で説明しました。

 

ここではさらに具体的にカーンズ・セイヤー症候群をみていきます。


カーンズ・セイヤー症候群とは、眼瞼下垂を生じさせる外眼筋麻痺に加え、眼のなかで光を感じる網膜に異常 がみられる「網膜色素変性(もうまくしきそへんせい)」、場合によっては突然死も危惧せねばならない致死性不整脈である「心伝導障害」の3つの徴候が条件となります。

 

ただ、この3条件が揃わない不完全型もみられます。


ミトコンドリアの異常から発症するのですが、極めて稀有な疾病であり、小児も含め年代を選ばず発症します。

 

眼瞼下垂については、初期には片方の目に発症することもありますが、ゆっくりと進行するにつれて両方の目ともに眼瞼下垂となります。

 

遺伝性も明確ではありませんが、点突然変異(遺伝子の一つの塩基が置き換わる)の場合は母系を伝わって遺伝することがあるようです。

 


「難病情報センター」のWEBサイトにリンクされている「国立精神・神経医療研究センター病院遺伝カウンセリング室」の冊子によれば、カーンズ・セイヤー症候群もそのひとつであるミトコンドリア病は、2009年の10月に、国の難病対策の一つの「特定疾患治療研究事業」の対象として認められました。

 

この事業は、ある疾病にかかった患者さんに対し、決められた条件を満たす場合に医療費を助成し、難病の原因究明や治療法開発などを目指した調査研究の進捗を図るものです。

 

ミトコンドリア病と認定されるためには、定められた条件を満たす必要があります。


カーンズ・セイヤー症候群は、難病と認められているように、現在の時点では根本的な治療方法はまだ発見されていませんが、現在も治験中の薬剤も数種存在しています。

 

したがって眼瞼下垂も含め対症療法が主となっています。

 

たとえば、発作時はエネルギー消費を抑えるため安静・睡眠が奨励されます。

 

糖質制限と脂質優先摂取、バルプロ酸などのミトコンドリア毒を避けること、発作時にはL-カルニチン、コエンザイムQ、ビタミンB1・Cを中心とするビタミンカクテル療法を行う。

投稿者: 高田眼科

2016.03.31更新

2020.3.27 記事内容を修正・更新しました。


 英語表記の「Kearns-Sayre Syndrome」の頭文字を取って「KSS」とも呼ばれる「カーンズ・セイヤー症候群」は、「ミトコンドリア病」の一疾病です。

ミトコンドリアの働きが低下することが原因で起こる病気を総称しミトコンドリア病と呼び、カーンズ・セイヤー症候群もその中の疾患のひとつとなります。

 

ミトコンドリアはほとんど全ての細胞に存在する細胞内小器官であり、その最大の役割はエネルギー(ATP)の生合成である。

 

ミトコンドリアの働きが低下すると、細胞そのものの働きがエネルギー(ATP)不足により低下します。筋肉であれば筋力低下、神経であれば麻痺、肝細胞であれば肝不全となるわけです。

 

病気の主座がどこであるかによりミトコンドリア脳筋症(のうきんしょう)・肝症・心筋症などに分けられますが、全てのミトコンドリア病で全身の症状が発現する場合があります。

 

カーンズ・セイヤー(Kearns-Sayre)症候群の場合は、ミトコンドリアが異常によって筋肉の働きが低下して発症するもので、眼瞼挙筋に症状が出て、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」が出現します。



先に述べたように、ミトコンドリア病は、特に脳や脊髄にあたる中枢神経系や骨格筋にも影響度が大きいことから、それらの部位を示す「ミトコンドリア脳筋症」という病名でも呼ばれます。

 

眼瞼下垂をはじめとする症状を引き起こす「慢性進行性外眼麻痺(まんせいしんこうせいがいがんまひ)症候群/CPEO=Chronic Progressive External Ophthalmoplegia)」は、このミトコンドリア脳筋症に属する三大病型の一つで、さらに重症になった際にカーンズ・セイヤー症候群となります。


生物の授業で思い出される方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそもミトコンドリアとは、動植物や菌類などほとんどすべての生物の細胞に広く含まれています。

 

私たちの体は、たくさんの細胞でできていますが、人間のミトコンドリアは、全身の真核細胞(核膜で囲まれた核をもつ)に存在する細胞小器官で、細胞の一つ一つにあり、一つの細胞には数百個も入っていて、生命維持活動のためのエネルギーをつくる重要な役割を担っています。

 

それがミトコンドリアを、人間にとってのエネルギー工場やエンジン、あるいは発電所と表現する理由で、最近はアンチエイジングの視点からも注目を集め話題になっています。


人間が食事で取り入れた糖質(炭水化物)を消化酵素によって分解してできるブドウ糖と、呼吸によって取り入れた酸素。この2つを用いて二酸化炭素と水とエネルギーに変える働きをするのがミトコンドリアなのです。

 

こうして生み出されたエネルギーによって私たちは、体温を維持したり、心臓から全身に血液を送ったり、筋肉を収縮させるなどの基本的な活動を行っています。

 

したがって、ひとたびミトコンドリアに異常が発生すると、特に大量のエネルギーを必要とする脳や脊髄、骨格筋を中心に症状が生まれます。

 

こうして引き起こされる多くの症状のなかで、4本の直筋(内直筋、外直筋、上直筋 、下直筋)と、2本の斜筋(上斜筋、下斜筋)で構成される外眼筋の麻痺につながった場合に、眼瞼下垂を発症するようです。

投稿者: 高田眼科

2016.03.24更新

2020.3.30 記事内容を修正・更新しました。


 内眼手術後眼瞼下垂って?


「硝子体手術(しょうしたいしゅじゅつ)」、「白内障手術」、「緑内障手術」は、眼内を対象とした手術ですので、眼科では「内眼手術(ないがんしゅじゅつ)」と呼んでいます。

 

「内眼手術後眼瞼下垂(がんけんかすい)」とは、これらの手術が誘因となって発症する眼瞼下垂を指します。

 

まずは、それぞれの疾病について、簡単に説明しましょう。

 


①硝子体手術

 

硝子体とは、眼球のなかにある器官のひとつでガラス体とも呼ばれます。

 

無色透明なゲル状の組織で構成され99%が水分です。

 

この硝子体が混濁や出血をすることで網膜に光が入るのを邪魔したりすることがあります。

 

その場合には網膜剥離が合併していたりするので、緊急性が高く、硝子体とともに、出血などの濁りを取り除くと同時に、剥がれた網膜を復位する手術が硝子体手術です。

 

硝子体手術が必要なケースとしては、糖尿病網膜症に対する硝子体手術があります。

 

糖尿病網膜症は、進行すると、新生血管が発生します。

 

さらに、新生血管を取り囲むように増殖膜(線維性血管膜)ができます。

 

この「線維性血管膜」は網膜から立ち上がり、硝子体に癒着します。

 

増殖膜は、そのまま放置していると、網膜を引っ張るようになり、網膜剥離になります。

 

結果として、増殖糖尿病網膜症という段階になれば、硝子体手術が検討される理由となります。

 

②白内障手術


次に、白内障とは、カメラでレンズの役割をする水晶体の濁りによって、見にくい、まぶしい、かすむなどの症状を生む疾病です。

 

白内障手術を行うことで、濁った人工水晶体を超音波で取り除き、人工のレンズを入れることで、視力の向上を期待する手術です。

 

白内障は、進行すると、隅角が狭くなり、急激な眼圧上昇を引き起こします。

 

急性緑内障発作と言われる状況で、早急に白内障手術を行うことで隅角を広げ、眼圧を低下させることにより視神経の障害を防いで、症状の進行を抑制することができます。

 

③緑内障手術


緑内障とは、何らかの原因により、脳に色や形などの情報を送る視神経に障害が起こり、視野が狭くなっていく病気です。

 

言い換えれば、視神経が障害されることで、網膜からの電気信号(目で見た情報、視覚情報)がスムーズに脳に伝わらなくなる疾病で、ほおっておくと、病状が悪化して、視力を失ってしまいます。

 

厚生労働省の調査では、日本人の失明原因の第 1位を占める深刻な状況を呈しています。

 

治療は、点眼薬による療法やレーザー を照射して、眼圧を調整している房水の流出を促すレーザー治療をまず行い、改善しなかった場合に手術を実施することになります。

 

手術には、様々な手術方法があります。

 

基本的には、房水と呼ばれる眼球内の水を眼球の外へ誘導する手術となります。

 

最近では、インプラントとよばれるリコン製のチューブとプレートからなるデバイスを使った手術が行われるようになってきております。

 

これは、房水を眼内からチューブに通して強膜上のプレートに流出させ、プレート周囲の結合組織に房水を吸収させることで眼圧下降を得る手術です

 

トラベクレクトミーは代表的な濾過手術であり、強膜弁下から前房内へ房水流出路を作成し前房内から眼外へ房水を排出させることで眼圧下降効果が得られる手術です。

 

トラベクレクトミーは、優れた眼圧下降効果が得られ、病型や病期によらず施行できるため、第1選択となる手術であり、実際に、世界で一番多く施行されている手術となります。


内眼手術後眼瞼下垂が生じる場合

内眼手術後に眼瞼下垂が生じる場合は、高齢者に限定して術後に現われるケースと、年齢に関係なく手術侵襲(手術時にメスを入れられること)や術後の炎症反応が特に強かった際に発症するケースの2つがあるとされておりますが、詳細は分かっておりません。


前者の高齢者のケースは、手術が何らかの影響を及ぼして「老人性眼瞼下垂」が発症してしまうことによります。

 

後者のケースでは、まぶたを上げる際の動力となる「眼瞼挙筋」とその周りの組織が癒着することで眼瞼下垂が発症するもので、眼瞼挙筋そのものに障害が発生するわけではないとされております。

 

しかし、個人的には、手術操作による眼瞼挙筋への障害が原因と考えております。

 

内眼手術を行う際には、一般的に、開瞼器という器具を装着を使い、まぶたを閉じれない状態にいたします。

 

機械的に、無理やり開く形になりますので、その過程で、眼瞼挙筋腱膜が瞼板から外れてしまったり、腱膜が断裂してしまうと考えております。

 

事実、内眼手術後眼瞼下垂症を引き起こした症例のほとんどが、特段の眼瞼挙筋の炎症性の癒着を認められず、普通に眼瞼挙筋腱膜前転法によって、腱膜を瞼板に再固定する単純な手術で改善しております。

 

 

 

 

投稿者: 高田眼科

2016.03.24更新

※2020.8.5 記事内容の修正・更新を行いました。


 ■眼瞼皮膚弛緩症って?
眼瞼皮膚弛緩症のイラスト


「眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)」とは、上まぶたの皮膚がまぶたの縁を越えて屋根の庇(ひさし)のように垂れ下がることで、視野が制限されて見えにくくなったり、まつ毛が内向きに押されて(黒目の表面を覆う)角膜や(白目の表面を覆う)結膜に接触し、ちくちくする感覚を覚える睫毛内反(しょうもうないはん)を生じさせる疾病です。


[後天性眼瞼下垂]の症状「老人性眼瞼下垂」でも述べていますが、一般的には年を重ねるにつれて筋肉や、組織と組織の間にある結合織(けつごうしき)、ファシアが弱くなることで、ゆるんだり、たるんだりして、上まぶたが重力により垂れ下がる老人性の疾病を指します。

しかし一方で、こうした加齢による皮膚の弛緩とは区別される疾病も眼瞼皮膚弛緩症と呼ばれることがあります。


それは、マルファン症候群と呼ばれる、先天性に起こる皮膚の弛緩を指します。

常染色体上に存在する一対の遺伝子のどちらかに異常があれば発症する「常染色体優性」であり、と説明されます。

確かに常染色体優性遺伝によるとみられる症例は報告されているのですが、家族に一切そのような症例のない例外も多く、確かな病因はまだ明らかになっていないのが事実です。

加えて、症状は、軽い場合から重い場合まであります。


マルファン症候群の患者のほとんどが、症状にまったく気づきません。


成人期まで症状が現れない場合もあります。

全身の結合織が弱くなるので、骨や関節のほか、心臓、血管、眼、肺、中枢神経系(脳と脊髄)といった体内のあらゆる構造にも生じます。

皮膚もその中に含まれ、皮下脂肪がないのが特徴です。

そして、まぶたの皮膚のたるみとして現れ、当然、その方を実年齢以上に老け込んだ印象にさせてしまいますので外見上も深刻な状況を引き起こします。




■眼瞼皮膚弛緩症の治療


 


眼瞼皮膚弛緩症を治療する際は、まぶたを縁に沿って切り開き、たるんだ上まぶたの余分になっている皮膚を切除する手術を行うことで、まぶたを開けやすくし、視野が広がって、より自然に物が見えるようになります。

 

<STEP01> 皮膚切開のデザイン

眼瞼皮膚弛緩症の皮膚切開のイラスト

 

 

<STEP02> 皮膚縫合後の状態

眼瞼皮膚弛緩症の皮膚縫合のイラスト


単純な皮膚の余剰だけの眼瞼下垂症の場合には、この方法は非常に有効です。

また、眼瞼下垂症手術を受けたものの、術後の皮膚の余剰が強い場合などでは頻繁に選択されます。

 

しかしながら、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」が伴っている場合は、まぶたを上げる際に重要な役割をする「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」を修復する手術を行う必要があります。

高田眼科では、眼瞼下垂症を引き起こしている状態、症状や患者さんのご希望により治療方法を選んで行うことが多いです。

投稿者: 高田眼科

2016.03.24更新

※2020.3.12 記事内容の修正・更新を行いました。


Horner(ホルネル)症候群とは?


「ホルネル(Horner)症候群」は、1869年にスイスの眼科医だったヨハン・フリードリヒ・ホルネルによって発見された疾病のため、その名をとってこう呼ばれています。


脳(視床下部)から眼球へと走行する頸部交感神経の経路が遮断された場合に発生する疾患です。この交感神経遠心路には3つの神経細胞がありますが、いずれの神経細胞に障害が生じてもホルネル症候群が発症し、また、若年から老年までどの年代でも症状がみられます。

 

さまざまな症状を特長としますが、目を中心として起きる症状としては、主に次の3徴候が挙げられます。

 


まず、瞳孔が過度に収縮する「縮瞳(しゅくどう)」です。

 

日常生活において瞳孔は、副交感神経によって支配される瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)の働きによって、光のある場所では収縮し暗闇では拡大して目に入る光を調節しますが、縮瞳になると暗闇のなかでも過度に縮まったままになってしまいます。


次に挙げられるのが「眼球陥凹(がんきゅうかんおう=眼球後退)」。眼球が、眼球の収まるくぼみである眼窩(がんか)内に極端に陥没する症状です。


そして3点めが「眼瞼下垂(がんけんかすい)」です。特に片方の目だけに眼瞼下垂が発症する場合が、ホルネル症候群の特長といわれます。

 

これは、損傷が起きた神経細胞と同じ側の目が影響を受けるからです。


これら目に関わる徴候以外では、顔面における発汗が減ることや、"のぼせ"や"ほてり"などの紅潮、虹彩異色症(こうさいいしょくしょう/左右の眼で虹彩の色が異なること、もしくは変色すること)などが、ホルネル症候群の特長とされています。

 


Horner(ホルネル)症候群の原因

自然発生する場合もあるホルネル症候群ですが、その原因は多岐にわたります。


肺癌をはじめ胸部に発症する腫瘍や、同じく胸部の大動脈が拡張する大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)、手術におけるメスによる侵襲(体を傷つけること)、さらに「内頸動脈解離(ないけいどうみゃくかいり)」が原因としてまず挙げられます。

 

内頸動脈解離とは、首にある頸動脈の壁の内側の一部が解離する、つまり裂けてはがれる疾病です。

 

さらに、頸部(首)や脊髄の疾患に、やはり頸部や頭部に受けた外傷に至るまで実に多くの原因が挙げられます。

 


生まれつきホルネル症候群がある「先天性ホルネル症候群」も存在します。

投稿者: 高田眼科

2016.03.19更新

2020.3.30 記事内容を修正・更新しました。


老人性眼瞼下垂って?


「老人性眼瞼下垂(ろうじんせいがんけんかすい)」は、「後天性(こうてんせい)眼瞼下垂」のなかではよくみられる眼瞼下垂症の病態の一つで、加齢と共に上まぶたの皮膚がたるんでしまい垂れ下がり、まぶたが開きにくくなり、上方の視野が制限されてしまう症状が出現します。

 

コンタクトレンズの装着や外傷が原因でない場合に該当しますが、その原因はやはりまぶたの機能と関係しています。

 


ほとんどの場合、まぶたを上げる際に大切な役割を担う「瞼板(けんばん)」につながる「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」という薄くて堅い膜に何らかの障害が発生してゆるんでしまって起きることが多いです。

 

これは腱膜性眼瞼下垂と呼ばれますが、まぶたを上げる挙筋機能は失われておらず、眼球運動も特に問題がありません。

 

(腱膜性眼瞼下垂症については、こちらの眼瞼下垂症ブログ記事をご参照ください。)

 

老人性眼瞼下垂の場合、さらに加齢による経年変化でまぶたの皮膚がたるむ「眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)」も、多くの方が併発しています。

 

症状には左右差が生じることがありますが、両方の目に現れる両側性がほとんどです。

 

また、尾毛下垂とも呼ばれますので、詳しくは、別の眼瞼下垂症ブログ記事にて説明させて頂いておりますので参照ください。


老人性眼瞼下垂になったら

額(おでこ)の筋肉を使ってまぶたを上げれば、視界の制限にも対処できる程度の軽傷の場合は特に治療の必要はありません。

 

ただ、額の筋肉を上げて目を大きく開こうとするとき、後頭部から頭の上を通って眉毛にまで至る後頭前頭筋(こうとうぜんとうきん)が収縮します。

 

こうした状況が持続し、緊張して凝ったようになると血流の悪化に結びついて、頭痛や肩こりの原因ともなります。こうしたメカニズムは(5)なぜ肩こりや頭痛になるの? をご参照ください。

 


一方で老人性眼瞼下垂が重症になるとまつ毛を内側に押し込んで、いわゆる「逆さまつ毛」になり眼球を傷つけるケースも生じます。もちろん、視野が制限されて生活に支障をきたす場合は治療が必要です。

 


老人性眼瞼下垂の治療は、まぶたに関わる筋肉への処置は行わず、たるんだ皮膚を切除することで視野が確保できます。

投稿者: 高田眼科

2016.03.19更新

※2020.3.11 記事内容の修正・更新を行いました。


 腱膜性眼瞼下垂って?


「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」は、「後天性(こうてんせい)眼瞼下垂」のほとんどを占めており、腱膜性眼瞼下垂とその他を原因とする眼瞼下垂に大別できるほどです。


腱膜性眼瞼下垂の「腱膜」とは、まぶたを上げる際に大切な「眼瞼挙筋腱膜(きょきんけんまく)」を指すのですが、詳しくは、まぶたの開け閉めで説明しているので、こちらをご参照ください。


腱膜性眼瞼下垂の原因は、この挙筋腱膜とまぶたの骨格ともいえる軟骨組織である「瞼板(けんばん)」との付着部分が外れたり、挙筋腱膜が伸びたり薄くなったり、途中で切れたりすることにあります。

そのような状況になると、瞼板が自然に持ち上がらなくなり、まぶたが開きづらくなる症状が生じます。これが腱膜性眼瞼下垂です。 


腱膜性眼瞼下垂は、長期のコンタクトレンズの使用(特にハードコンタクトレンズ使用)、花粉症やアトピー性皮膚炎、アイメイクのし過ぎなどで、目をこすり過ぎることで発症するといわれています。

 

また、加齢による経年劣化も原因とされていますが、これは「老人性眼瞼下垂」と呼ばれ、[後天性眼瞼下垂]の症状「老人性眼瞼下垂」で説明しています。

 

以前は、加齢による腱膜性眼瞼下垂が多かったのですが、ライフスタイルの変化によって、上記を原因とする若い世代の腱膜性眼瞼下垂も増加傾向にあります。


腱膜性眼瞼下垂の進行

腱膜性眼瞼下垂の場合は、開きづらくなったまぶたを努力して開いている時期が「(予備の能力で機能を維持している)代償期」、そうした努力しても開けられなくなる時期が「(症状として現れる)非代償期」となります。 


この代償期では、まぶたを上げる「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」を補佐している「ミュラー筋」の力を貸りたりするのですが、それによりミュラー筋を司る交感神経の興奮を引き起こすことにより肩こりが発生しているという研究もあります。

 

また、単純に眉を引き上げることで、瞼の開きを補うために、おでこの筋肉(前頭筋)が緊張することにより、それに連なる首や肩の筋肉の緊張を引き起こすことで発生するという考え方もあります。

 

眼瞼下垂と肩こりの関係は、こちらで説明しておりますのでご参照ください。


そして、こうした代償期の状況が続くと、いつしかミュラー筋も伸びてしまい、 常にまぶたが垂れ下がる腱膜性眼瞼下垂の症状を呈します。

投稿者: 高田眼科

2016.03.19更新

2020.3.30 記事内容を修正・更新いたしました。


動眼神経麻痺って?


「先天性眼瞼下垂(せんてんせいがんけんかすい)」のほとんどの原因が、まぶたを上げる(開ける)ときに一番メインの筋肉である上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)の発育不良によるものです。

 

これを「単純性眼瞼下垂(たんじゅんせいがんけんかすい)」といいますが、「先天性動眼神経麻痺(せんてんせいどうがんしんけいまひ)」の動眼神経の障害も、原因の一つとして挙げられます。

 

このほかに稀なケースとして、常染色体優性遺伝により発症する 「眼瞼縮小症候群(がんけんしゅくしょうしょうこうぐん)」、さらに「 Horner(ホルネル)症候群」という、交感神経の障害が原因の眼瞼下垂も存在します。

 

(それぞれについては、別の眼瞼下垂症ブログ記事にて解説させて頂いておりますので、ご参照ください。)

 


動眼神経麻痺は、脳神経のひとつである「動眼神経」の障害によって生じる疾病で、これが「眼瞼下垂(がんけんかすい)」につながります。

 


「動眼神経」は、「滑車神経(かっしゃしんけい)」、「外転神経(がいてんしんけい)」の2つの神経と共に、眼球を動かす筋肉を支配しています。

 

そのなかで動眼神経は、眼球を鼻側(内側)方向に向ける「内直筋(ないちょくきん)」、上下に向ける「上直筋(じょうちょくきん)」と「下直筋(かちょくきん)」、外方向に回転させる「下斜筋(かしゃきん)」を支配しています。

 


さらに動眼神経は、外界の光を目の中に取り入れる瞳孔を調節する「瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)」と、先に述べたまぶたを上げる(開ける)上眼瞼挙筋まで支配しています。

 

そのため生まれつき動眼神経に何らかの障害をもって生まれると、赤ちゃんがまぶたを上げる力にも影響が及んで眼瞼下垂が生じてしまうのです。

 

特に動眼神経による眼瞼下垂は、瞳孔まで隠れてしまうような深刻な症状を引き起こしてしまうケースもあります。

 


赤ちゃんの視力と手術

赤ちゃんの瞳孔が、先天性動眼神経麻痺による先天性眼瞼下垂によって完全に隠れてしまっているような状況では、視力が正常に育たずに弱視になる可能性もあるため早期の治療が求められます。

 

視力は、生まれたばかりの時期は光を感じる程度で、生後6ヶ月になると視力が0.1ほどになり、乳幼児期に著しく発達します。

 

赤ちゃんのころからいろいろな物を見たり両親とふれあうことが脳細胞への刺激となって、視力の発達にも影響を与えます。



視力が正常に発達するためには、当然ながら両目を正しく使って見ることが重要になります。

 

ただ、そのために幼児期における治療を受ける際に注意したいのが、子どもの眼瞼下垂の手術は全身麻酔で基本行わなければならないという点です。

 

先天性眼瞼下垂の程度にもよりますが、全身麻酔の安全性や生活上の不便さなどを考えると、集団生活を行う就学前に相談されるのがよいかもしれません。

 

場合によっては手術が複数回行わなければならないため、慎重に進めてください。

投稿者: 高田眼科

2016.03.03更新

◼︎眼瞼下垂と眼瞼腫瘍

腫瘍(しゅよう)とは、一般的には「できもの」や「はれもの」などと呼ばれる症状を指します。もともと人体を構成していた組織のうち、普通は1個が制御を失って、その組織における自然な発育プロセスや秩序とはかけ離れて増殖するもので、「真性腫瘍(しんせいしゅよう)」とも呼ばれます。
この真性腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍があります。前者は、腫瘍がある場所で限定的に大きくなってふくらんでいる状態を示します。後者は、周囲の細胞にまでより速く影響を及ぼし、全身に転移することもあります。ガンは悪性腫瘍に入ります。
まぶたに違和感やしこり=腫瘤(しゅりゅう)を感じた場合は「眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)」の可能性がありますが、硬さはもちろん、その症状はさまざまです。特にまぶたは、組織が複雑な構造になっているので多岐にわたる症状が現れます。
「眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)」は、腫瘍が原因であったり、筋肉自体が壊れてしまう「筋原性眼瞼下垂症(きんげんせいがんけんかすい)」に分類されます。
眼瞼腫瘍によって眼瞼下垂が生じる原因は、まぶたに腫瘍ができることで、その重みによって、まぶたを動かす筋肉が耐えられず下垂する可能性が挙げられます。


◼︎良性の眼瞼腫瘍のタイプ
まぶたの眼瞼腫瘍の多くは良性ですが、悪性の「眼瞼腫瘍」の場合もあります。瞼の異常で気づきますが、ほかの眼の疾病と間違えやすく注意が必要です。このページでは、良性の眼瞼腫瘍について紹介します。
(1)ものもらい:麦粒腫(ばくりゅうしゅ)まぶたにある脂腺や汗腺に細菌が入って感染し腫れた疾病。放置しても治る場合もありますが、対処が遅れると痛みを伴って膿むことがあります。/霰粒腫(さんりゅうしゅ)まぶたにあって脂肪を出す分泌腺(マイボーム腺)に脂肪が詰まって生じる炎症です。
※ものもらいは、繰り返し症状が現れる場合に腫瘍の可能性があります。
(2)眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ):皮膚に漏れた脂質を食べた細胞が増殖して生じます。黄色味を帯びて平たく盛り上がった腫瘍です。
(3)乳頭腫(にょううとうしゅ):皮膚の角質が増殖して発症します。まぶたの縁に、乳頭状の突起がいくつも現れます。
(4)脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう):皮膚の老化現象により出現するため、俗に"年寄りいぼ"などと呼ばれます。
(5)汗管腫(かんかんしゅ):汗を出す汗管が詰まって、いわゆるブツブツができる疾患で、思春期以降の女性のまぶたによく現れます。
(6)皮様嚢腫(ひようのうしゅ)/類皮嚢腫(るいひのうほう):いずれも、表皮などの上皮成分が皮膚の奥にめり込んでしまうことで発症します。  
(7) 母斑 (ほくろ) :メラノサイトというメラニン色素を作る細胞が高い密度で固まり、日焼けなどの刺激でメラニン色素を出すことで褐色から茶色の斑点として現れるものです。

投稿者: 高田眼科

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